Ikkoku-Kan Is Forever..!!のブログ

バイトをして大学に行くお金を貯めながら時間を見つけて少しづつ本を読もう。

加藤周一『日本文学史序説』(6)

五.加藤の表現(日本文学史) 加藤は1200年に及ぶ日本文学の歴史を〈土着〉という即自的な自我が〈外来〉という他者を通じて対自化され、相互の交流を通じて創造的な自我(藝術)が生まれる過程―それはさながらヘーゲルの『精神現象学』を髣髴させる―を…

加藤周一『日本文学史序説』(5)

四.加藤の思索(個人主義について) 加藤の思想の意味は、戦後日本におけるデモクラシーの成立を独自の立場から検討し、これを思想化したことにある。それは、本来キリスト教社会における個人主義の伝統を背景に成立したデモクラシーが、非キリスト教社会で…

加藤周一『日本文学史序説』(4)

三.加藤周一の着想 加藤のいう〈藝術〉とは何か。この問いは、加藤周一の思想とは何か、という問いと同義といって良い。周知のように雑種文化論の背景には、加藤の西洋体験が存在するが、加藤は自身のフランス留学を振り返ってその印象を次の様に語っている…

加藤周一『日本文学史序説』(3)

二.加藤周一の問い 1951年から55年までフランス政府の半給費留学生として渡仏していた加藤は、帰国後まもなく「日本文化の雑種性」(1955)という文章を発表する。有名な加藤周一の「雑種文化論」を、ここで仮に同論文にはじまり「雑種的日本文化…

加藤周一『日本文学史序説』(2)

一.戦後の出発 加藤周一とはいかなる人物か。その自伝的小説である『羊の歌』から浮かび上がるのは、幼いころから周囲と馴染めず、常に自己の疎外感を拭い切れないでいる「孤独な観察者」としての姿である。[i] 私は生涯を考え、他人との関係についてではな…

加藤周一『日本文学史序説』(1)

加藤周一の読み方 加藤周一という名前は『日本文学史序説』の筆者として高校生の時から知っていたものの、実際に加藤を読んだのは大学に入ってからだった。実際に加藤のテキストに触れると、独特の文体というかその感覚に戸惑ったのを覚えている。一応、文学…

戦後啓蒙と丸山眞男(6)

丸山思想史の展開 いまから取り上げるのは、一九六四年から六七年までの『講義録』である。丸山はこの中で、仏教、武士のエートス、キリスト教、儒教と、そこに自由を実現するための可能性、すなわち超越者や普遍者の可能性を探していく。しかし、結論から言…

戦後啓蒙と丸山眞男(5)

前述したように、丸山の研究生活は徳川時代の研究から始まった。そしてここまでは、その思索のなかで丸山がどのように近代を見つけようと試みたのかを確認した。そしてこれからみていく戦後の思索の特徴は、その〈江戸〉が丸山思想史のストーリーのなかに位…

戦後啓蒙と丸山眞男(4)

一九三五年夏。丸山は友人と二人で宮城県刈田郡越河村(現在の白石市越河村)の定光寺にいた。大学二年の夏である。緑会懸賞論文を書くため、寺に籠って勉強しようというのだった。勉強する丸山を寺に残して一人遊びに出かける友人は猪野謙二である。このと…

戦後啓蒙と丸山眞男(3)

丸山眞男の死去[i]がはじめて新聞各紙に報道されたのは、一九九六年八月一九日の朝刊だった。紙面には、戦後の平和運動、あるいは六〇年安保闘争の理論的指導者としての丸山眞男の姿が踊っている。[ii]総じて新聞記事を読む限り、丸山眞男が「政治思想史研究…

丸山眞男と戦後啓蒙(2)

前回に続いて丸山の思想史的位置づけを簡単にまとめてみる。 戦後日本の思想には大きく分けて二つのトレンドが存在した。言うまでもなく、それは①「マルクス主義(唯物史観)」と②「近代化論」である。この二大潮流に対し、問題意識の共有という意味において…

丸山眞男と戦後啓蒙(1)

大学に通っていた頃、丸山眞男の本をよく読んでいた。友人から、「丸山眞男という名前はよく聞くが、読んだことがないから、簡単に説明してくれ」と言われて閉口したことがある。取り敢えず、自分なりに丸山について考えたことをまとめてみる。 まず、そもそ…

植木雅俊『思想としての法華経』

*** そろそろ次の記事を投稿してみませんか? はてなブログは、あなたが日々の生活から感じたこと、考えたことを書き残すことができる場所です。記事を書き続けることで、あなたの感性や関心が読者にも伝わり、同じ興味を持つ人とのつながりが生まれるか…

私と世界の関係?

そもそも自分は何に興味があるのか。恐らく一言でいえば、「セカイ系」だと思う。今年で二十六である。やはり、中学生の頃から何一つ成長していない。 だがしかし、 誰しも思春期の肥大化する自意識のなかで「私と世界の関係」とは何か、考えたことがあるは…

はてなブログへようこそ!

はてなブログへようこそ! 日々の生活、喜びと悲しみ、特別な出会い、ちょっとした考えや思いつきをブログに書き残してください。しばらく続けて読み返したときに、また新しい発見があります。 さあ、最初の記事を書いてみましょう。 中学生の頃から「受験」…